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競合か?市場創造か?

昨年から、「シェアサイクル(自転車の共同利用)」市場が盛り上がっているようだ。

NTTドコモがすでに参入しているが、メルカリ、DMMといった企業が参入を検討している(結局、DMMは参入しないことになったようだが。)。

 

シェアサイクルが今熱い! | サービス紹介と最新動向2017 - レンタサイクルの違い - その他職種 | ボクシルマガジン

 

個人的には、シェアサイクルの市場がどれぐらいあるのか、また魅力的なのかどうかはよく知らないが、メルカリ、DMMといった企業は、ビジネスに目鼻が効く。彼らが本気で検討しているということは、一定の魅力があるんだろうと思う(他人任せな結論ですみません・・・)。

 

今回気になったのは、市場が魅力的かどうかではなく、従来、その市場で活動してきた事業者との関係だ。

関西のソーシャルビジネス界隈で、「HUBチャリ」という事業を聞いたことがある人も多いだろう。HomedoorというNPOが運営する、大阪市内で自転車を共同利用するサービスであり、市内数か所に自転車ポートを持っている。この事業は、もともと、ホームレスの方に自転車の管理を依頼することで仕事を生み出し、ホームレス状態を作らない、という狙いがあるようである。

 

HUBchari | 大阪の便利なレンタサイクル(シェアサイクル・コミュニティサイクル)「HUBchari」(ハブチャリ)

 

NTTドコモのような大資本や、メルカリのような商売上手な会社が参入してくることがこのソーシャルビジネスにどんな影響を与えるだろうか?こうした出来事は、どの分野でも起こり得る。その時にどんな反応を示すかでその後は大きく変わる。

例えば、

・参入に断固として反対/拒否する(場合によっては、妨害する)

・危機意識をもって、自分たちのサービスを高めたり、差別化を考える

・これをチャンスとして、お互いに得意なところを補い合う協力関係を結ぶ

などである。どれを選ぶかはその時の市場の状況や経営者の考えによっても変わるので、正解は一つではない。しかし、参入があった時のための想定をしておくことは大切だと思う。

 

ちなみに、HUBチャリのHPをみると、NTTドコモとは協力関係で進めているようだ。

 

【プレスリリース】HUBchariスマート会員開始 | HUBchari

 

ソーシャルビジネス/先駆者側からみると、大手事業者に拒否反応を示すこともあると思うのだが、今回はどちらからのアプローチかは知らないものの協力関係を結んでいる。NTTドコモ自体、自転車ポートの運営と、運営システムの提供という2つの顔を持っているから出来ることだが、これもまた一つの戦略だ。

 

 

さて、我々に近しい業界でも、数年前は株式会社の新規参入に反対する考えがあり、株式会社の参入者は心理的に拒否されていた。しかし、それから数年たった現在、その株式会社が、業界で最も影響力を持っている。従来の事業者は、新規参入者に出せない価値や負けない差別化ポイントを持っていない限りは、淘汰される可能性もある。

 

 

あらゆる組織は自分たちの組織の生き残りをかけるので、参入者への拒否反応自体は当然発生するものである。しかし、そんな時こそ、もう一つ上の視野をもって、

・参入者が増えることで社会的認知が広がり、市場が拡大しないか、

・参入者と補完関係をとることで新たな市場価値を生み出せないか、

・お互い切磋琢磨することでお客様へのサービス品質を高められないか、

といった風に市場を創造していく選択肢や切磋琢磨するという選択肢を持ち、その結果、必要としている人に必要なサービスが届きやすくなることを本気で考えた方が良いのではないかと思う。