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発達障害のある方の支援事業のきっかけ その2

少し前になりますが、前回の記事(発達障害のある方の支援事業のきっかけその1)で、発達障害のある方がなかなか就職しにくいことに対して、問題意識を感じたところまで書きました。

 

その後、2011年度から発達障害のある大学・短大・専門学校生に特化して、企業インターンシップを開始するのですが、今回はその取り組みについて書いてみたいと思います。(今は、「働くチカラプロジェクト」として、マナー講座や自己理解講座も含めた、発達障害学生のための就職サークル活動のようになっています)。

 

この発達障害学生インターンシップは、夏休みを中心とした長期休みに継続して実施してきており、過去の参加学生は150名を超えますが、当初は、まずやってみよう、ということで、春休み期間中に3名の学生(一人はまだ高校生でしたが、)に協力を頂き、トライアルを行った結果、思いのほか、好評だったので、思い切って広げる事にしました。

インターンシップが必要とされた背景として、大きく3つあると考えています。彼らの、①障害について知る機会の少なさ、②社会経験の少なさ、③自己肯定感の低さや不安感です。

 

①障害について知る機会の少なさ

例えば、特別支援学校に通って来られた方であれば、幼少期から障害について、情報収集し、社会に出る準備が出来ます(それが実を結ぶかどうかは、別の問題ですが)。しかし、普通校に通っていた発達障害学生は、本人・保護者共に障害の事を知る機会が少なく、就職が上手く行かずに、突然障害に向き合わざるを得ない、という方が数多くおられます。その時点で、もう少し早く現状を知って対策できていれば、という事になります。しかも、福祉の制度や支援が得られる社会資源も知らないことが多いですから、どこに相談してよいか分からなくなってしまうのです(さらにそのまま就職が出来ずに数年立つと、生活リズムが乱れてしまったりと、別の問題が発生する可能性もあります。)。

 

②社会経験の少なさ

インターンシップに応募してくる学生の多くはサークルやアルバイト等、社会との接点が少ない傾向にあります。一方で、発達障害のある人の特性として、「経験から学ぶ」というものがあり、社会経験がないことが、発達障害の特性と相まって、社会に対するイメージ不足につながり、社会に出るのに困難さを招く可能性があります。また、サークルやアルバイトを通して得られるコミュニケーションやマナーについても経験していないことが多いため、併せて対策が必要になります。

 

③自己肯定感の低さや不安感

①、②とも関連して、障害の事を知らなかったり、社会経験が少ないことにより、このままで大丈夫だろうか?自分は社会から受け入れられるのだろうか?、自分はダメな人間じゃないだろうかといった考えを持つ事につながります。そうなると、彼らが本来持っている良さ(性格面やスキル、能力)が上手く発揮されません。したがって、社会の側も彼らを受け入れてくれているという事を感じてもらうことが大切であると思います。

 

以上の背景を元に、企業インターンシップを実施しています。数日間のインターンシップでスキルが飛躍的に伸びる事は少ないですが、経験を通して、障害理解が進んだり、強み、弱みの把握につながります。また、社会経験や企業の人から評価されることによって自己肯定感が高まり、その後、その人の良さがかなり発揮されるようになった事例は数多くあります。これらの事例を通して、彼らが元々持っている良さを引き出す事が大切なのだと学びました。

 

また、インターンシップの振り返りの際に、ご家族や大学の方に参加してもらう事も多く、インターンシップの経験を大学や家庭で生かして頂くことも大切にしています。本人だけではなく、普段接する方々に理解をして頂いて、その後継続して必要なサポートを得る事も大切な支援の一環です。

 

また企業に発達障害の事を知って頂く啓発活動としても効果的です。現在、マンパワーの問題でなかなか大きく活動を広げられていないのですが、今後も継続して取り組んでいきたいと考えています。

 

インターンでの取り組みを継続する中で、2013年のエンカレッジの立ち上げにつながるのですが、そこはまた次回に。

 

今回もお読み頂き、ありがとうございました。